髙塚 皓正様 和田 崇様 プロフィール 高塚様 東京工業大学 機械制御システム専攻修了。オムロン株式会社にて、R&D、新規事業創出組織の立ち上げ、オープンイノベーション組織の立ち上げなどに携わったのち、2022年に株式会社Laboro.AIに参画。製造業領域、モビリティ領域を中心にサービスを提供している。 和田様 立教大学大学院 経営学修士。KDDI株式会社にて、au商品サービスのマーケティングやクロスメディアによるプロモーション戦略の立案・企画実施に携わったのち、2019年に株式会社Laboro.AIに参画。マーケティング部門の責任者として、同社のブランディングやプロモーション、コミュニケーション領域を牽引。 イントロダクション 量子、AI、バイオテクノロジー、半導体・電子機器、環境・エネルギー、素材、医療機器、航空宇宙等、国や世界全体で解決すべき経済社会課題の解決を通して社会にインパクトを与えられるような潜在力のある技術を「ディープテック」という。 そうした技術の開発に着手するスタートアップを、「ディープテック・スタートアップ」と呼ぶが、近年では、技術開発や新たな価値創造、社会実装を促進していく意味合いから、事業会社とディープテック・スタートアップが連携する事例が増えてきた。 本連載では、独自にインタビューを進めた内容を元に、ディープテック・スタートアップの視点から事業会社との連携における課題や成功ポイントについて紹介していく。 今回は、株式会社Laboro.AIで実施している事業会社との連携について、高塚様と和田様に話を聞いた。(以下、本文敬称略) 会社概要 ミッション・すべての産業の新たな姿をつくる・テクノロジーとビジネスを、つなぐ 事業概要・機械学習を活用したオーダーメイド型AI 「カスタムAI」 の開発事業・カスタムAI導入のためのコンサルティング事業 参考:株式会社Laboro.AI 『会社概要』 カスタムAIの開発フローのイメージ:「お客様の課題やフェーズに合わせて、ワンストップでサポート」 参考:https://laboro.ai/service/ 連携先のミッションと自社の将来像とのマッチングは連携の重要な軸 ─―御社は事業会社からの出資に関するプレスリリース等を多く発信されていると思いますが、それらの事業会社とは、どのような連携を実施しているのでしょうか。 和田:AI開発の延長線で、事業会社が抱える課題を共に解決するため、戦略的かつ長期的なパートナーシップとして連携させていただいています。また、出資をいただいているものの、資金調達は主目的ではなく、長期的な共創の証として出資いただいている形です。 ─―連携する事業会社を選定するうえで、重視しているポイントはございますか。 和田:技術の親和性や技術要件も重要ではありますが、事業会社側のミッションと当社の将来像がマッチしているかという観点は特に重要な軸と考えています。 ─―事業会社と連携する際、連携前から実施したいことや解決したい課題は明確にしているのでしょうか。 高塚:連携前から取組み内容が明確になっていることは少ないですね。事業会社側の担当者の方とコミュニケーションを取りながら検討し、決定していくことが多いと思います。 積極的な実績の対外発信により、事業会社の目に留まる企業になる ─―続いて、事業会社と繋がるための取組みについて教えてください。事業会社から連携の打診が来るように工夫していることはございますか。 和田:外部サービスとして提供されているオープンイノベーションプラットフォームなどに登録し、積極的に対外発信するようにしています。カスタムAIは具体的なプロダクトを見せることが難しく、事業会社のビジネス課題起点でのご提案となるため、いかに事業会社側から声をかけていただけるかが重要になります。 ─―具体的にプロダクトを見せるのが難しい中でも、御社のサービスを事業会社の方々に理解してもらうために、工夫していることはございますか。 和田:これまでの連携の実績として、積極的に過去事例を会社HP等で紹介するようにしています。過去実績を確認いただくことで、当社がどのようなサービスを提供することができるのか、少しでも理解いただければと思っています。 プロジェクト事例「これまでのカスタムAIの導入・活用事例」 参考:https://laboro.ai/case/ スムーズな連携推進には、事業会社との密なコミュニケーションがポイント ─―続いて、事業会社との連携を推進していくうえで乗り越えていくべきハードルや工夫していることについて教えてください。まず、事業会社と連携を推進していくうえでは、どのようなハードルがございますか。 和田:お互いの意思決定スピードと情報の透明性を高めていくことが、連携においては重要になると考えています。即座に意思決定のスピードを上げることは難しいこともありますので、適宜意思決定の状況や行き詰っているポイントを相互共有させていただき、双方の透明性を担保することで、お互いに柔軟な対応がしやすくなると思います。 ─―続いて、マイルストンやゴールの設定について教えてください。事業会社とは、どのようにマイルストンを設定しているのでしょうか。 高塚:事業会社と相談しながら決定しているケースが多いですね。大きなゴールを維持しながらも、細々とした進め方はお互いの状況に応じて臨機応変に対応させていただいています。 ─―事業会社と連携する中で、事業会社側の出向を受け入れる制度はございますか。 高塚:明示的にそのような制度はありませんが、連携とは関係なく、前向きに受け入れさせていただいており、実際に受け入れ実績もあります。 業績の安定化に向け、事業会社と長期的な関係性を構築していきたい ─―本日はインタビューをお引き受けいただき、ありがとうございました。最後に、今後取組み予定のことや目標について教えてください。 和田:単発的な関係ではなく、長期的な関係性を構築することが、当社にとっても実績や業績の安定化に繋がります。今後も、これまで構築させていただいた事業会社各社との長期的な関係性を起点に、新たな価値創出に向けた取組みを進めていきたいと考えています。 参考サイト:https://laboro.ai/ 作成者:PwCコンサルティング合同会社 インタビュー実施日:2024.2.14
髙塚 皓正様 和田 崇様
高塚様
イントロダクション東京工業大学 機械制御システム専攻修了。オムロン株式会社にて、R&D、新規事業創出組織の立ち上げ、オープンイノベーション組織の立ち上げなどに携わったのち、2022年に株式会社Laboro.AIに参画。製造業領域、モビリティ領域を中心にサービスを提供している。
和田様
立教大学大学院 経営学修士。KDDI株式会社にて、au商品サービスのマーケティングやクロスメディアによるプロモーション戦略の立案・企画実施に携わったのち、2019年に株式会社Laboro.AIに参画。マーケティング部門の責任者として、同社のブランディングやプロモーション、コミュニケーション領域を牽引。
量子、AI、バイオテクノロジー、半導体・電子機器、環境・エネルギー、素材、医療機器、航空宇宙等、国や世界全体で解決すべき経済社会課題の解決を通して社会にインパクトを与えられるような潜在力のある技術を「ディープテック」という。
そうした技術の開発に着手するスタートアップを、「ディープテック・スタートアップ」と呼ぶが、近年では、技術開発や新たな価値創造、社会実装を促進していく意味合いから、事業会社とディープテック・スタートアップが連携する事例が増えてきた。
本連載では、独自にインタビューを進めた内容を元に、ディープテック・スタートアップの視点から事業会社との連携における課題や成功ポイントについて紹介していく。
今回は、株式会社Laboro.AIで実施している事業会社との連携について、高塚様と和田様に話を聞いた。(以下、本文敬称略)
会社概要
・テクノロジーとビジネスを、つなぐ
・カスタムAI導入のためのコンサルティング事業
参考:株式会社Laboro.AI 『会社概要』
カスタムAIの開発フローのイメージ:「お客様の課題やフェーズに合わせて、ワンストップでサポート」
参考:https://laboro.ai/service/
連携先のミッションと自社の将来像とのマッチングは連携の重要な軸
─―御社は事業会社からの出資に関するプレスリリース等を多く発信されていると思いますが、それらの事業会社とは、どのような連携を実施しているのでしょうか。
和田:AI開発の延長線で、事業会社が抱える課題を共に解決するため、戦略的かつ長期的なパートナーシップとして連携させていただいています。また、出資をいただいているものの、資金調達は主目的ではなく、長期的な共創の証として出資いただいている形です。
─―連携する事業会社を選定するうえで、重視しているポイントはございますか。
和田:技術の親和性や技術要件も重要ではありますが、事業会社側のミッションと当社の将来像がマッチしているかという観点は特に重要な軸と考えています。
─―事業会社と連携する際、連携前から実施したいことや解決したい課題は明確にしているのでしょうか。
高塚:連携前から取組み内容が明確になっていることは少ないですね。事業会社側の担当者の方とコミュニケーションを取りながら検討し、決定していくことが多いと思います。
積極的な実績の対外発信により、事業会社の目に留まる企業になる
─―続いて、事業会社と繋がるための取組みについて教えてください。事業会社から連携の打診が来るように工夫していることはございますか。
和田:外部サービスとして提供されているオープンイノベーションプラットフォームなどに登録し、積極的に対外発信するようにしています。カスタムAIは具体的なプロダクトを見せることが難しく、事業会社のビジネス課題起点でのご提案となるため、いかに事業会社側から声をかけていただけるかが重要になります。
─―具体的にプロダクトを見せるのが難しい中でも、御社のサービスを事業会社の方々に理解してもらうために、工夫していることはございますか。
和田:これまでの連携の実績として、積極的に過去事例を会社HP等で紹介するようにしています。過去実績を確認いただくことで、当社がどのようなサービスを提供することができるのか、少しでも理解いただければと思っています。
プロジェクト事例「これまでのカスタムAIの導入・活用事例」
参考:https://laboro.ai/case/
スムーズな連携推進には、事業会社との密なコミュニケーションがポイント
─―続いて、事業会社との連携を推進していくうえで乗り越えていくべきハードルや工夫していることについて教えてください。まず、事業会社と連携を推進していくうえでは、どのようなハードルがございますか。
和田:お互いの意思決定スピードと情報の透明性を高めていくことが、連携においては重要になると考えています。即座に意思決定のスピードを上げることは難しいこともありますので、適宜意思決定の状況や行き詰っているポイントを相互共有させていただき、双方の透明性を担保することで、お互いに柔軟な対応がしやすくなると思います。
─―続いて、マイルストンやゴールの設定について教えてください。事業会社とは、どのようにマイルストンを設定しているのでしょうか。
高塚:事業会社と相談しながら決定しているケースが多いですね。大きなゴールを維持しながらも、細々とした進め方はお互いの状況に応じて臨機応変に対応させていただいています。
─―事業会社と連携する中で、事業会社側の出向を受け入れる制度はございますか。
高塚:明示的にそのような制度はありませんが、連携とは関係なく、前向きに受け入れさせていただいており、実際に受け入れ実績もあります。
業績の安定化に向け、事業会社と長期的な関係性を構築していきたい
─―本日はインタビューをお引き受けいただき、ありがとうございました。最後に、今後取組み予定のことや目標について教えてください。
和田:単発的な関係ではなく、長期的な関係性を構築することが、当社にとっても実績や業績の安定化に繋がります。今後も、これまで構築させていただいた事業会社各社との長期的な関係性を起点に、新たな価値創出に向けた取組みを進めていきたいと考えています。
作成者:PwCコンサルティング合同会社
インタビュー実施日:2024.2.14